このたび、第14回日本生殖医療支援システム研究会を神戸の地にて開催し、私が会長を務めさせていただくこととなり、大変光栄であると同時に、その責任の重さをあらためて感じております。至らぬ点も多いかと存じますが、諸先輩方ならびに関係各位のご指導とご支援を賜りながら、本研究会が有意義な場となるよう努めてまいりたいと考えております。
神戸は、先進医療や生命科学研究の分野において発展を続けてきた都市であり、生殖医療に携わる私たちが、医療の質とそれを支えるシステムの在り方について改めて考える場として、たいへん意義深い開催地であると感じております。
本研究会のテーマは、「医療情報システムの現在と未来 ― AI時代のその先へ」です。近年、AIをはじめとするデジタル技術は医療現場に急速に浸透し、診療支援や業務効率化、情報管理の高度化など、多くの変化をもたらしています。一方で、医療情報システムは単なる技術革新にとどまらず、医療の安全性、信頼性、倫理性を支える基盤として、その本質的な役割があらためて問われていると感じております。本研究会では、AI時代の「現在」を見つめ直すとともに、その先にある医療情報システムのあるべき姿について、皆様と共に考える機会としたいと考えております。
生殖医療の分野においては、とりわけデータ管理およびトレーサビリティの確保が極めて重要な課題です。配偶子や胚を取り扱う医療の特性上、検体情報、治療過程、意思決定の記録を正確かつ一貫して管理し、追跡可能性を担保することは、医療安全の確保のみならず、患者からの信頼を支える根幹であるといえます。AIや情報技術の活用が進む今だからこそ、効率性や利便性の向上だけでなく、「正確に記録し、確実に引き継ぎ、説明責任を果たす」ための医療情報システムの在り方を、あらためて見つめ直す必要があると考えております。
また、生殖医療の現場においては、患者の身体的・心理的な負担に配慮した、きめ細やかな支援が求められています。医療情報システムは、こうした配慮を実際の診療に反映させるための重要な支えとなり得るものであり、患者一人ひとりに寄り添った医療を実現するうえで、その果たす役割は今後さらに大きくなるものと感じております。
本研究会は、医師、胚培養士、看護職、コメディカル、研究者、システム開発に関わる方々など、多様な立場の参加者が一堂に会し、日常診療に直結する課題から将来を見据えた展望までを率直に共有し、議論できる貴重な場です。本会を通じて得られる知見や交流が、今後の生殖医療のさらなる発展と、より良い患者支援につながることを心より願っております。
また、本研究会では特別講演として、大塚篤司先生をお迎えしております。大塚先生は、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授として、皮膚科領域における臨床・教育・研究の第一線でご活躍されており、専門性の高い医学的知見に加え、書籍やメディアを通じた医療情報発信にも積極的に取り組まれてきました。先生は医療現場におけるAI活用についても精力的に発信されており、本研究会のテーマを考えるうえで、参加者の皆様にとって大変有意義なご講演となるものと期待しております。
最後になりましたが、本研究会の開催にあたり、多大なるご尽力を賜りました関係各位ならびに協賛企業の皆様に、心より感謝申し上げます。本研究会が、参加される皆様にとって実り多いものとなることを祈念いたします。
第14回日本生殖医療支援システム研究会
会長 岡本 恵理
英ウィメンズクリニック 副院長